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消えた馬券師ー序章 [エッセイ、水彩画]

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時代は昭和の終わり、場所は京都だったか阪神だったか忘れた。
当時まだ連勝枠式しか発売馬券がなく、高配当などめったに出なかった。
そんなとき中央競馬会による万馬券事件がおき大騒動となった。
レースはゴール前もつれて写真判定となり、競馬会は4-5と発表し五千円台の高配当となった。
ところが実際には頭の差ほどある5-5だったからたまらない、頭差あれば素人でも肉眼で確認できる。
瞬時に大騒動となり競馬会は発表を改めたので混乱はなお大きくなった。
数十分の後、競馬記者が係の者に事情を聴きに行った。
よそ見をしていて結果を見ていなかったという返事だったという。
競馬界は責任を取り4-5、5-5の両方の馬券の保証をするという事になった。
中には結果を見て破って捨ててしまった者もかなりいたという。
男の名前を仮にyとしょう、yはその時何か不自然なものを感じた。

人生旅街道ー消えた馬券師 [短歌、エッセイ、水彩画]

人生旅海道.jpg
 
 幾山河越え去りゆかば寂しさの
      果てなむ国ぞ今日も旅ゆく   
                    若山 牧水
昔、何十年前ある男が夢物語のような途方もない夢に飲み込まれた。
その男はある省庁で高級官僚による公営ギャンブルの不正レースが業務となっていると考えた。
税金のかからない興行収入(裏金)、いわゆる今流でいえば埋蔵金である。
男は使われている暗号解読に取りつかれた。
日常の生活など夢遊病のごとくで、頭の中はいつも暗号解読だった。
テレビなど見る事はまるでなかった(気が散る)。
心はいつも充実していた。
友人に厚く夢を語ったこともあった。
人はその時は真剣に話を聞いているようなそぶりで、蔭では頭がおかしいのではと笑っていた。
いつしか夢を人に語ることはなくなっていった。

イソップの童話 [エッセイ]

春.jpg
ふと付けたテレビ
コント番組を放映していた。
ある学者が今話題の地球温暖化対策はまったくの無意味だと力説していた。
場内は盛り上がっていた。
考え方はいろいろあるだろう、しかし私はまったくの同意見だった。
というより以前から不思議に思っていた。
なぜ温暖化がいけないのだろうか?????
私のような寒がりは寒冷化よりは温暖化の方が有難い。
それに巷では社会の不景気により職を失ったホームレスの人たちであふれかえっているという。
地震などが起これば被災地では公民館などで集団生活になってしまう(なぜか冬が多い)。
テレビ局の取材ではほとんどの人達が冬の寒さがつらいと答えている。
あの人達には夏は問題ではない、やはり冬の寒さである。
勿論温暖化による環境問題はあるだろう、しかし温暖化ではたちまち死者はそれほどでない。
しかし寒冷化被害はそんなものではない、即時死者が続出してしまう。
考えてみれば人類が環境を破壊しながら文明を発展させてきたのは歴史の足跡である。
森林を殺さず海を汚染させないためには文明の発展を止め、原始の生活に戻るのが理想であろう(理論的には)。
文化の発展によるメリットデメリットの問題は見る角度により千差万別の考え方を生じさせる。

時の残影 [エッセイ,短歌]

虹のコピー.jpg
真っ暗な深夜。
静まり返った住宅街の路上に停めた車の窓からある一室の窓明かりを見上げていた。
時計の針は三時を回っていた。
明々ついていた窓明かりが消えて暗く静まり返る。
しばらくすると車のライトがついてどこかに走り去ってゆく。
ゆっくりと車のエンジンをかける、入れ替わりに車を駐車する。
深夜の階段にコツコツと靴音が響く。
三階の一室のドアーに手をかける、鍵は掛かっていなかった。
3,4時間前まで飲んでいたクラブに勤める女の子の部屋だった。
先ほどまでパトロンがいたのだろう。


流れゆく時の一瞬が創り出す泡の残影。

無常の風 [エッセイ、photo]

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国会新嬉劇成田劇場に師走の風があわただしく吹いているようだ。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
紗羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す。
おごれる人も久しからず、ただ春の世の夢のごとし。
武き者も遂に滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。
又、平成の世に平家の風が吹いた。
浮草のようにまるで信念を持たぬ国民の選んだ内閣総理大臣、
ほんの四、五日前は十人に八人は支持と答えていた、
今は二人に一人が不支持と答えるとニュースが流れていた。
内閣誕生より数カ月もたっていない。
私は選挙前今の総理大臣がまだ野党の頃に三カ月後には何を言っているか楽しみにしているとブログに書いた事がある。
昔、朝レイ暮くんとマスコミに言われていた田中真紀子元外務大臣。
今は我が党の議員からも十五分総理と言われているとテレビニュースが言っていた。
まあそれでもいいでしょう、すぐに奥さん連れて外国旅行
奥さんはジーパン賞をもらい大人気(政治には関係ないような気もするが)。
昔は「秘書が法にふれれば私ならすぐ議員を辞める」と国会で言っていた。
今は「私は知らなかったから辞めない」と会見を開いて言っていた。
舌は沢山持つ方がいいのかもしれない????

 [エッセイ、photo]

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警察が私のところに来て指紋を取らせてくれと言う。
勿論即座に断った。
「しかしお宅は入る時ドアーを触っているので採取しておいた方がいいのでは」と警察は言う。
「私は遊びに来たつもりなのでそこまでする必要はないと思っているが、
もしここの人が私が怪しいというのであればいつでも協力するから、
その時は日を改めてうちの事務所に来てくれ、今日は不快なのでもう帰る」と言ってそのまま帰ってしまった。
事務所に帰り不快な思いでぼんやりと机に座っていると、間髪を入れず電話が鳴る。
出てみるとAだった。
「どうした、何かあったのか?」私は呆れてものが言えない。
「なにかあったのかじゃーないだろう、事務員に聞け。
しかしまあ立場が変われば自分でもあいつかなあこいつも怪しいなあ、と思う。
だからそれはいい。
しかしお前がやったんだろうと断定すれば、もし先で違うとわかった時には、
あの時は悪かったでは済まん事になるで」私が言う。
「そんな悪く取ってはあかんよ、物事は善意に取らなくては。
わしを見ろ、善意に善意に取るからぶくぶく太っているだろう。」Aが言う。
私はあほらしくなって電話を切った。
その件はそれっきりうやむやになった、勿論警察も来なかったが。
それっきりいつの間にが忘れていた。
数ヵ月後、同業者が笑いながら言う。
「この間空港でAにあったらあんたにやられた」と言っていたという。
私は知らない、あほらしくて返事もする気になれなかった。

盗まれた手紙 [エッセイ、photo]

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社会は人の交わりで構成される。
スムーズに流れてゆけばいい。
しかし社会は人の集合体。
人には十人十色と言われるように様々なカラーがある。
知力レベルも違いすぎると様々な衝突、破損が起きる。
小学生の頃、学校の図書室で読んだポー短編集の中の「盗まれた手紙」。
その中に「知力の一致」という言葉が出てくる。
知力レベルを合わせて潤滑油のように使いスムーズに事を運ぶ。
この論理において低い方が高い方に合わせると言うことは不可能。
そこで高い方が低い方のレベルまで下りてくる。
そこにまた問題が起きる。
低い方はいい、言いたい放題のしたい放題。
しかし高い方は常に自身の抑制にエネルギーを消耗する。
そしてイライラ、ストレスを蓄積してゆく。
高じるとうつ病のような症状が見え隠れしてくる。

疑惑 [エッセイ、photo]

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私の生まれ育った町広島の歴史、それは映画に代表されるように裏切りの歴史。
力こそがすべて、それゆえ生き抜くためには筋目と言うアイテム(小道具)が必要となる。
筋道が通っていればどこまでも突き進む、筋の通っていないと判断すれば速やかに引く。
この状況判断が総て、感情など一切関係ない。
私は例の一件以来どうも表だって動くのはまずいと判断した。
と言う事は裏を返せば表立って動かないのであればよいという事になる。
屁理屈のような気はするが理屈こそが総ての世界である。
そこでAの事務所のドアーと金庫のカギを持っている私は夜になると出かけてゆき自分に都合のよいような仕事をしては帰っていた。
なんともお粗末な笑い話ばかり作っていたAではあるがこと業務に関しては業界屈指でAが歩いた後は
草木も生えないと言われるほどの凄腕だったから始末が悪い。
数カ月のち、事務所の電話が鳴った。
Aの会社の事務員からだった。
社長出張に行き暇なので遊びに来ないか」と言う。
おかしいなあと思いつつ鼻の下をのばして出かけてゆく。
座って数分もたたないうちにまた数人が入ってくる。
「東署のものですが」!
私はよくある仲間内の冗談かと最初思った。
ところが「これです」と事務員が壊れたカギを持って一直線!
ようやく私にも事情が呑み込めた。
警察が私のところに来て「指紋を取らせてくれ」と言う。

噂の回遊 [エッセイ]

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丸く収まったはずであったこの件が因となり別の事件へと展開していった。
Aにしてみればお金を出してその世界に依頼して(何を期待したのかはしらないが)私が五、六人ではあるが部下を引き連れ社長と呼ばれながらふんぞり返っているのが納得がゆかなかったのであろう。
別の人間を会社の顧問として雇い入れたらしい。
私は知らなかったが同業者の間である噂話が面白く知れ渡った。
そんな事をすればまた話はこじれてトラブルになる。
顔をつぶされた筋ものが黙っているはずがない、ましてやかたや大幹部である。
仕方なくAはまた両方にお金を持って行きことを収めたらしい。
そして新任顧問はB(大幹部)がくると言って鍵をかけて家に閉じこもっていると同業者が笑いながら私に言っていた。
なんともお粗末な笑い話で話は終わったかのように見えた。
はずであったがこれが又別の事件へと展開した。

幻想の渦 [エッセイ、水彩画]

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仮想世界ー幻想の渦
階段に数人の足音がした。
ドアーが開き数人がどかどかっと部屋に入ってきた。
いきなり「うわっ、知り合いや、いけんわ」と叫んだ。
私の知人がバツの悪そうな顔をしている。
「ここだけの丸い話にしょうや」と言いながら別の部屋で話をしていた。
帰ってきた知人は「話を聞いてみたらあんたが一番悪いようだ」と言う。
わたしはだまってふてくされていた。
後に人に聞いた話では私の前に座っている人はその世界の有名な大幹部だと言う、(このいきさつはあっという間に業界に知れ渡った)その人がにこやかな笑顔で言った。
「もうここだけの丸い話にしてこれっきりにしょう」
わたしは「丸い話と言ってもどんな話にしてもらえるのだろうか」とふてくされたように言った。
するとA(社長)が「もう一軒出そうと思って準備している事務所がある、あれをおまえがしろ。
準備が済でいるので明日からでも営業が出来る、わしは不動産屋に払ったお金を返してくれればいい」
と言った。そこでお金は私の知人が出すということで話はすぐ決まった。
私の前に座っている人がまたにこやかに言った。
「これであんたも満足しただろうし、もう二度とここにくることはないだろう。
もし来るようなことがあれば、その組んどる足が折れるとか」その時私は正直、腹の底から恐怖を感じたのを
数十年たった今でもまざまざと覚えている。
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